事実婚で子供ができたらどうすればいい?手続きや注意すべきポイントを徹底解説!
「事実婚」で子供を授かった場合、どうすればいいのでしょうか?
子供の戸籍や姓はどうなる?まず何をすればいい?
必要な手続きや今後の選択肢など、気になるポイントを一挙解説!
注意するべきポイントも、あわせてご紹介します。
「事実婚」とは?
「事実婚」とは、夫婦として暮らしているけれど、婚姻届を出していない状態のことです。
・お互い「夫婦である」という認識を持っていること
・周りや社会的にも夫婦と認められていること
・夫婦として共同生活を送っていること
・・・などが事実婚の条件とされています。
ただし、例えば単身赴任などで一緒に住んでいなくても事実婚と認められる場合もあり、婚姻届を提出する「法律婚」に比べて、事実婚の線引きは少し曖昧といえるかもしれません。
だからお互いに事実婚状態であるという契約書を交わしたりして、「二人が婚姻状態である」という証明を残すカップルも多いようです。
夫婦関係の証明ができれば、社会保険上の扶養家族にもなれることも。その場合は収入額によっては、健康保険等で相手の扶養に入ることもできます。
ただし、税法上の扶養家族にはなれないので、配偶者控除や配偶者特別控除は受けられません。
また、遺産の相続権もありません。
「相手に遺産を残す」という旨の遺言書を書くことで遺産を残すことはできますが、法律婚の夫婦よりも相続税が高くなります。
事実婚についてもっと詳しく知りたい人は、こちらの記事もどうぞ。
事実婚とは【わかりやすく】入籍しないメリット・デメリット、手続きや決めておくべきこと
入籍しなかったら何か問題ってあるの?入籍しないデメリットとは
そして事実婚状態の二人に子供ができた場合、親権を二人で持つことはできません。
事実婚では父母どちらか片方が親権を持つことになり、親権の共有はできないのです。
では事実婚で子供ができた場合、子供の戸籍や姓などはどうなるのでしょうか?
さっそく見ていきましょう。
事実婚で子供ができたらどうなる?
子供は「非嫡出子」となる
法律上、婚姻関係にある二人の間に生まれた子供は「嫡出子」といい、事実婚など法律上婚姻が成立していない二人の間に生まれた子供は、「非嫡出子」となります。
非嫡出子は戸籍に「非嫡出子」と記載される以外は、嫡出子と特に違いはありません。
事実婚の二人に子供が生まれたら、母親を筆頭者とする新しい戸籍を作り、子供はそこに入ります。
父親の欄は空欄となり、法律上では、父親との親子関係はありません。
法律的に父親との親子関係を結ぶためには「認知」が必要となりますが、それについてはこの後詳しくお話しします。
子供の姓は?
子供は母親の戸籍に入るので、母親の姓を名乗ることになります。
父親の姓を名乗らせたい場合は、家庭裁判所に「子の氏の変更許可の申し立て」をする方法や、父親と養子縁組をする方法があります。
親権はどちらがもつ?
先程も少しお話ししましたが、事実婚では共同親権を持つことができません。
だから基本的に、子供の親権は母親が持つことになります。
父親が子供を認知した場合は、二人が合意の上なら「親権(管理権)届」を役所に提出し、親権を父親が持つことも可能です。
では次に、事実婚で子供を授かったときに、まず必要な手続きを見ていきましょう。
事実婚で子供を授かったときに必要な手続き
認知
先程お話ししたように、事実婚で二人の間に子供ができても、父親と子供との間に法律的な親子関係は存在しません。
父親と子供を法律的な親子にしたい場合、「認知」の手続きが必要です。
「認知」とは、簡単に言うと「子供を自分の子と認める」ということ。
「認知届」を役所に提出するだけで済むので、手続き的には簡単です。
認知には、いくつか種類があります。
胎児認知
子供がまだ母親のおなかにいるうちに認知する方法です。
胎児認知をすると、子供の戸籍に父親の欄が空欄になる期間がなくなります。
胎児認知をする場合は、子供の母親の本籍地がある市区町村役場に認知届を提出しましょう。
届出人の本人確認書類と、母親の承諾書が必要になります。
任意認知
子供が生まれた後に認知する方法です。
父親か子供の本籍地または父親の所在地の市区町村役場に、認知届を提出しましょう。
この時、本人確認書類を忘れずに持っていきましょう。もし子供が成人している場合は、子供の承諾も必要になります。
何らかの事情で生前に認知することが難しい場合、遺言書に子供を認知する旨を書き記し、「遺言認知」をすることも可能。
この場合、遺言を書いた父親が亡くなったときに効力を持ち、認知された子供も相続を受けることができます。
裁判認知
認知前に父親が死亡した場合や、父親が自分の子と認めない場合などに、裁判で認知させる方法です。
死後認知の場合、亡くなってから3年以内なら請求することができます。
遺言認知や、父親が自分の子供だと認めない場合の裁判認知は、円満な事実婚夫婦には稀なケースかもしれません。
ほとんどは、胎児認知か出生後の任意認知となるでしょう。
父親が子供を認知することで法律的にも親子関係となり、相続権や扶養義務が生じます。
認知の必要書類については、認知の種類などによって変わりますので、認知届を提出する役所に確認してから出向きましょう。
参考:大阪市 認知届
出生届の提出
子供が生まれたら、「出生届」を役所に提出する必要があります。
子供が生まれてから14日以内に提出しましょう。
母親は出産直後で入院していることもあるので、代理人でも提出が可能。
ただし、代理人は「提出」ができても「届出人」にはなれません。
出生届には、子供の父または母の署名が必要(押印は任意)。
父親がまだ認知していない場合は法律上父親ではないので、出生届の届出人にはなれません。
児童手当や、子供の医療費助成の手続き
こちらは事実婚でなくても、子供が生まれたら速やかに済ませたい手続きです。
子供がいる家庭は、子供の人数や世帯の収入によって、児童手当を受けとることができます。
医療費の助成制度もあります。
どちらも、役所で早めに申請しておきましょう。
子供が生まれたときの手続きはこんな感じです。
次は、事実婚で子供が生まれたときの「選択肢」についてお話しします。
子供ができても事実婚は続ける?
二人だけなら事実婚でよくても、子供が生まれるとなると・・・
色々考える夫婦も多いのではないでしょうか?
事実婚で子供を授かったときの選択肢は、こちらです。
事実婚を続ける
子供がいても、事実婚を継続するカップルもいます。
認知をすることで、子供には相続や扶養を受ける権利を与えることができますし、愛情をかけて育てれば法律婚の家族となんら変わりはありません。
「色々な価値観の人間がいる」ということを、身をもって子供に教えることができるというメリットも。
万が一離婚してシングルマザーになることがあっても、事実婚ではそもそも姓や戸籍が変わらないので、手続きに追われることもありません。
ただし、父親と子供の名字が違ったり、周囲から夫婦関係・親子関係を認められにくかったりというデメリットも。
入園や入学の手続きの際、父親と名字が違うことで不思議に思われることがあるかもしれません。
ただ最近では色々な夫婦の形も認知されつつあるので、きちんと説明すれば問題はないかもしれませんね。
婚姻届を出す
子供を授かったのを機に、法律婚をするという夫婦もいます。
法律婚をすれば、認知をしなくても共同親権をもつことができ、相続や扶養の権利も当然与えられます。
事実婚に強いこだわりがないのであれば、子供をきっかけに法律婚に移行するのもアリですね。
事実婚を解消(離婚)する
子供を授かると、今後のことについて話し合いますよね。
そこでお互いの意見がぶつかり、価値観の違いに気付いたり、関係に亀裂が入ったり・・・
事実婚を解消(離婚)するという選択肢を選ぶ人もいます。
その場合、お腹に子供を宿している母親が親権を持つことになります。
元々共同親権ではないので、その辺は特に変わりがないですね。
ただし民法では、子供のために必要な場合のみ、親権を父親に変更することもできるとされています。
注意するべきポイント
次は事実婚で子供ができた場合に、注意すべきポイントを見てみましょう。
子供は扶養控除の対象になる?
「扶養控除」とは、納税者が扶養している親族(16歳以上の子供や親など)がいる場合、一定額の所得控除が受けられるという制度です。
事実婚の場合、夫婦間では配偶者控除が受けられないとお話ししましたよね。
では子供は、どうなのでしょうか?
父親が子供を認知していない場合は、法律上親子関係ではないので子は父親の扶養控除の対象にはなりません。
でも認知している場合、父と子は親子です。
扶養控除も受けることができますよ。
児童扶養手当はもらえる?
「児童扶養手当」とは、父母が離婚・死別するなどした一人親家庭の児童が受けられる手当です。
事実婚の場合、親権はどちらか一人が持つことになるので、児童扶養手当をもらえるのでは・・・?と思う人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
事実婚として夫婦が生計を共にしている場合、法律的な結婚でなくても「一人親家庭」には該当しません。
だから児童扶養手当も対象外です。
児童手当のデメリット
「児童手当」とは、0歳児から中学卒業までの児童を養育している人が受けられる手当のことです。
児童の年齢 | 児童手当の額(一人あたり月額) |
---|---|
3歳未満 | 一律15,000円 |
3歳以上 小学校修了前 | 10,000円 (第3子以降は15,000円) |
中学生 | 一律10,000円 |
※児童を養育している方の所得が所得制限限度額以上の場合は、特例給付として月額一律5,000円を支給します。
子供の年齢や人数、養育者の収入などによってその額は変わります。
それは事実婚の夫婦でも法律婚の夫婦でも変わらないのですが、児童手当には児童を養育している人の所得によって、「所得制限限度額」が設けられているんです。
所得が限度額を超えると、児童手当の額が下がってしまいます。
限度額は家族構成によって変わり、「年収103万円以下の配偶者」がいる場合、限度額が上がります。
でも事実婚では、税法上の配偶者とはみなされません。
たとえ収入103万円以下の配偶者がいても、限度額の査定に入れられないんですね。
例)
【家族構成が、夫・年収103万円以下の妻・こども1人の場合】〇法律婚夫婦の場合・・・扶養家族は2人となり、限度額は698万円〇事実婚夫婦の場合・・・扶養家族は1人(子供のみ)となり、限度額は660万円
扶養親族等の数 | 所得制限限度額 | 収入額の目安 |
---|---|---|
1人 (児童1人の場合 等) | 660万円 | 875.6万円 |
2人 (児童1人 + 年収103万円以下の配偶者の場合 等) | 698万円 | 917.8万円 |
共働きで2人ともガッツリ働いている場合は関係ありませんが・・・
片方が103万円以下の収入で、もう片方が660万円~698万円までの収入の場合、法律婚の夫婦よりも所得制限限度額が低くなり、児童手当が少なくなってしまいます。
これは子育てをするうえで、少しデメリットといえるかもしれませんね。
子供の気持ちは?
親が事実婚の場合、子供の気持ちはどうなのでしょうか?
自分と父親の名字が違うことに疑問を覚えることもあるでしょう。
少し成長して両親が法律上結婚していないことを知ったら、「なんで結婚していないの?」とさらに疑問に思うかもしれません。
「他の家となんだか違う」と感じ、不安になることもあるかもしれませんね。
でも現代では、色々な夫婦の形があります。
身をもってそれを知ることで、柔軟な価値観を持つ子に育てられるというメリットも。
どうして事実婚という形を選んだのか、子供の年齢に合わせたわかりやすい表現で、説明してあげるといいかもしれません。
事実婚でも両親が仲良く、愛情たっぷりに育てられれば、小さな不安はきっと消え去るのではないでしょうか。
まとめ
事実婚で子供ができた場合について、詳しくご紹介しました。
「事実婚」とは、婚姻届を出していない夫婦のこと。
事実婚で子供ができると、子供は「非嫡出子」となり、母親を筆頭者とする戸籍に入ります。
基本的には母親の姓を名乗り、親権も母親が持ちます。
法律的に父親との親子関係を結ぶためには、「認知」が必要。
他にも子供が生まれたら出生届の提出、児童手当や子供の医療費助成の手続きも必要です。
父親が認知をすれば、子供も父親の扶養控除の対象になります。
ただし児童手当については、受給する人の収入によって法律婚より条件が不利になることも。
児童扶養手当は、対象外になります。
また、両親が事実婚であることで、子供が不安に思ったり、疑問が生まれたりする可能性も。
そんな時はわかりやすく説明し、不安を解消してあげましょう。
メリット・デメリットも知ってから、事実婚での子育てを考えられるといいですね。
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