あの名セリフを使って、心に残るスピーチを!スピーチの参考になる映画10
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繊細な心を持つライターから
美しい愛の表現を学ぶ
Her「her/世界でひとつの彼女(2013)」
近未来の世界を通してみるクラシックで美しい恋愛模様。お相手は、人工知能
「かいじゅうたちのいるところ」などで知られるスパイク・ジョーンズ監督がメガホンをとったSFラブストーリー「Her/世界でひとつの彼女」。
人間と人工知能を搭載したOSとの、美しくも繊細な恋愛模様を描いた本作。近未来な設定なのに、意外にもクラシックなラブストーリーに仕上がっています。
本作が「結婚式スピーチに参考になる映画」に選ばれたワケ、それは、主人公が手紙の代筆ライターだということ!
彼が手紙にしたためる内容は、どれも奥ゆかしくてエレガンス。素晴らしい愛のメッセージがたくさん登場します。
主人公のセオドアを演じたのは、第70回カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した実力派俳優、ホアキン・フェニックス。
人工知能の声を「アベンジャーズ」シリーズなどで知られるスカーレット・ヨハンソン。
セオドアの元妻を「ドラゴン・タトゥーの女」で人気を博し、ホアキン・フェニックスの私生活の恋人でもあるルーニー・マーラが好演しています。
繊細な心の持ち主、セオドア。彼の仕事は、依頼人の思いをしたためる代筆ライター
パソコンはキーボードではなく音声認識で使用し、紙に印刷する文化がなくなり本が激減している……そんな近未来のロサンゼルス。
繊細な心を持つセオドア(ホアキン・フェニックス)は、依頼人や受取人に代わって気持ちを綴る、まるで詩人のような代筆ライターの仕事を毎日こなしていました。
「今この想いをどう伝えよう?恋に落ちたあの夜がまるで昨夜のよう」
「日々、あなたは私の光よ」
など、彼の表現はどれも美しいものばかり。
セオドアの代筆する手紙は、まわりからも評判が良く、仕事は順調。しかしその一方で、実生活では一年前に別居した妻キャサリン(ルーニー・マーラ)のことが忘れられず憂鬱な日々を送っていたのです。
彼は、ある日、最新モデルのAI「OS1」の広告をたまたま見つけ、購入します。
インストール後「OS1」はサマンサ(スカーレット・ヨハンソン)と名乗り、彼女はセオドアの生活や仕事をサポートするように。
OSと心通わすうちに憂鬱な毎日が一変。肉体を持たない存在との恋愛の行方は
OSなのに、ユニークな発想を持つサマンサと毎日会話することで、徐々に心を開いていったセオドア。
サマンサはどんどん新たな知識を取り入れ、日々人間らしさが増していきます。
ある日、キャサリンから離婚届のサインを迫られ、頭を抱えるセオドア。そんな彼の様子を知り、なんとサマンサは嫉妬するのです。
人間らしい感情を持つサマンサに最初は戸惑うセオドアでしたが、彼女の優しさに触れ、いつしか2人の間に恋愛感情が芽生えていきます。
セオドアはサマンサを愛したことによって、憂鬱な毎日が一変。ついに離婚届にサインする決意をし、サマンサを正式にガールフレンドとして迎えることにします。
サマンサと恋に落ちた後のセオドアが代筆した手紙が、「美しい」という一言では説明できないほど素晴らしいので、ここで紹介。
「毎日 家に帰ったら話してくれる?
おしゃべりな同僚のことや、シャツについたシミのこと
朝 起きた時に思いついて忘れてたこと
おかしな人のことを話して笑い合いたい
もし夜遅く帰って 私が寝ていても考えたことを耳元でささやいて
あなたの物の見方が好き
あなたの目を通して世界が見られて幸せよ
愛を マリアより」
日に日に愛を育む2人でしたが、サマンサが肉体を持たないことなど、さまざまな障害が2人の愛を複雑なものにしていきます。
人間が思う愛のカタチと、OSが創り出す愛のカタチは同じなワケじゃない
お互いがお互いを思いやることで愛情は順調に育つものなのかと思いきや、そうではありません。
思いやりだけでうまくいく恋愛なんて、ないという事実をSFという世界を通して教えてくれる本作。
サマンサがセオドアに伝えた「心は四角い箱じゃない。愛すれば愛するほどふくらむの」というメッセージは、妙に納得し共感できます。
このメッセージ以外にも、人生においてとても大切だと思う言葉やメッセージが次々と登場。
スピーチのエッセンスとなるフレーズが見つけられるはずです。
後半でセオドアが代筆ではなく、自分自身からかつて愛したキャサリン宛てに綴った手紙には
「愛してる。 一緒に成長し、僕を作ってくれた」
「君が何者になり、どこへ行こうとも 僕は愛を贈ろう。君は生涯の友達だ」
と、シンプルだけども心がほっこりするようなメッセージが込められています。
一瞬一瞬が参考になり、純粋な心を取り戻すことができる本作。鑑賞前と後ではきっとスピーチのアイデアも変わることでしょう。