人生いろいろ、幸せの形もいろいろ!さまざまな家族の姿を描く映画ベスト10
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クセ強ファミリーのロードトリップ
ハプニング通して家族の在り方を描く
Little Miss Sunshine「リトル・ミス・サンシャイン(2006)」
PHOTO:AFLO
パーフェクトな家族じゃない!シリアスな問題を抱える“一般的”な家族の物語
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ジョナサン・デイトンとバレリー・フェリス夫妻がメガホンをとった映画「リトル・ミス・サンシャイン」。
この作品は、“映画のようなパーフェクト”な家族を描くのではなく、それぞれがシリアスな問題を抱える家族に焦点を当てています。
みんなが不機嫌で、不満を抱えたそんな家族像は“ごく一般的”とも言えるでしょう。そんな家族をロードトリップを通じて描くことで、感動的なストーリーに仕上がっています。
家族それぞれが抱える問題や葛藤
冒頭から登場人物の性格が丸わかり
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ニューメキシコ州のアルバカーキに住むフーバー家。父のリチャードはキャリアの下り坂にありながらも「勝ち組」に入ることに固執していて、妻のシェリルは家族をまとめることに奮闘し、ストレスを抱えています。
息子のドウェーンは、ニーチェの信者で、航空パイロットになるという夢を叶えるまで沈黙を守り続けており、メモを通して家族とコミュニケーションをとっています。
祖父はコカインを使用し、老人ホームから追い出されてしまい、フーバー家と一緒に同居。
そしてフーバー家に新たに加わったのは、シェリルの兄で有名なプルースト研究者のフランク。彼は愛した人に振られ、自殺願望を持っていました。
そんな訳ありすぎる家族の物語の中心には、7歳になる娘のオリーブがいます。彼女は、リトル・ミス・サンシャインという美少女コンテストに出場することを夢見て、毎日祖父とダンスの練習に励んでいました。
オリーブが美少女コンテスト出場決定!ポンコツ車でカリフォルニアに向かう
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メガネで少しぽっちゃりのオリーブは、美少女コンテスト「リトル・ミス・サンシャイン」に出場することが決定。
家族の“オアシス”的存在であるオリーブの夢を叶えてあげようと、早速カリフォルニア行きを計画しますが、お金がないフーバー家は飛行機で行くこともできず、結局家族全員でポンコツ車に乗って向かうことに。
その旅の中で、それぞれが自分の抱える問題と直面することに。その旅の中で、彼らはお互いの距離を縮めて、絆を深めていきます。
「勝者」が讃えられるアメリカ文化 皮肉を込めて描くコンテストシーンは必見
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冒頭では、ドウェーンがメモに「全員嫌いだ」と書くように、仲の良い家族という訳ではありません。
しかしロードトリップでは、失敗やハプニングなどを通して、「もうどうにでもなれ」精神が爆発し、家族の団結力が高まっていきます。
そんなフーバー家を見ていると、家族というものは、それぞれの個性や問題が、その家族を形作っているのだと実感しました。
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さらに注目すべきは、コンテストシーン。小さな子どもたちが厚化粧をして、満面の笑みを作ってアピールする。そんなギラギラの雰囲気のコンテストで「勝者」に焦点を当てるのではなく、「敗者」に焦点を当てているのがとても興味深い。このシーンでは「勝者」が讃えられるアメリカ文化を皮肉っているのかな?とさえ感じました。
この作品で、破茶滅茶なフーパー家を見て、ぜひ自分の家族の関係性を見返して欲しいです。