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結婚式はいわば“子育て卒業式”
父親に「ありがとう」を伝える機会
Father Of The Bride「花嫁のパパ(1991)」
PHOTO:AFLO
大事な娘からの結婚報告…!
戸惑いを隠せない父親の葛藤
世の女性にとって、結婚式は、憧れのイベントであり晴れの舞台。
嬉しさと期待で満ち溢れた花嫁の姿を結婚式で目にするたびに、こちらも幸せオーラに包まれる。
一方で、なんとも言えない気持ちになるのが新郎新婦の両親のちょっぴり寂しそうな表情だ。それもそのはず、両親にとって、結婚式は“子育て卒業”の日なのだから…。
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そんな寂しくてたまらない父親の姿を描き出したのが「花嫁のパパ」。大事に育てた娘を嫁に出す父親の心情って、こんな感じなんだ! ということが、手に取るようにわかる。
いつも娘の前でニコニコ笑っているお父さんだって、実は心のなかでは撃沈しているかも。
うちのお父さんは大丈夫! と思っている女性にこそ、結婚する前に観ておいてほしい1作なのだ。
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娘の婚約者は爽やかな青年
でも父の心は複雑なまま…
ローマに留学していた愛娘のアニーが帰国し、嬉しそうなジョージ。
そんな喜びもつかの間、アニーから突然の結婚宣言! 娘の結婚に喜ぶ妻のニーナとは反対に、ジョージは「バカげてる!」と怒り出す。
ジョージにとっては青天の霹靂。22歳の“ガール”だと思っていた娘の結婚など、簡単に受け入れるわけがない。
こんなに怒り出す父親も珍しい気もするが、世のお父さんたちも表に出さないだけで、きっと内面ではジョージのように腑に落ちない気持ちでいっぱいなのだろう。
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けれどもそんなジョージの気持ちなどお構いなしに、さっそくアニーの恋人のブライアンが、家に挨拶にやってくる。
ブライアンは爽やかな雰囲気の青年だが、ジョージは、アニーのひざをそっとなでる彼の手元を苦々しい表情でジーッと凝視。
また「お父さん」などと言われようものならぎょっとして、嫌悪感をあらわにする始末。
だが幸せいっぱいの若い2人がそんな気配に気づくはずもなく、ブライアンは照れながら、プロポーズの言葉を口にする。
「僕は婚約したのも、こんなに人を愛したのも初めてです。結婚してもアニーのキャリアは応援します。いつか彼女との子どもも、そして孫もほしい――」。
この言葉を聞いたニーナは、娘がいい人と出会えて良かったと感激し、2人を祝福。
一方で、彼の職業が“フリーの情報コンサルタント”だと聞いたジョージは、「結婚詐欺なんじゃないか…?」と疑う様子を見せ、ニーナにたしなめられる。
何でもかんでも、娘の結婚相手にケチをつけたがる父親が実際いたら面倒くさいなぁと思うけれど、こうやって客観的に見ると、そんな父親の精一杯の抵抗がなんだか可愛くも思えてくる。
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父娘の考え方の違いで
披露宴の準備が中断…!?
ハッピーなムードのなか、ひとり波に乗り切れないジョージ。そんななか、アニーが提案したのは「自分の家で結婚披露宴を開きたい!」というプランだった。
自宅での披露宴はアメリカならではだが、悩みどころは日本と一緒。せっかくの晴れの日だからといって、あれもこれもと好きなものをセレクトしてしまうと、どんどん費用がかさんでしまう。
ニーナは「結婚式は女の子の夢よ」と、理想の結婚式を実現しようとするが…披露宴の資金を払うのは大黒柱のジョージ。
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しかも娘の結婚に前向きになれないジョージは、なるべく披露宴の出費は最低限に抑えたいと考えている。
この娘と父親の披露宴に対する考え方の違いのせいで、準備がうまく進まなくなってしまうのだ。
招待客の数でひと悶着、ケーキの値段を見ては「僕の車よりも高いぞ」と目を白黒させ、「料理は安いチキンで!」と主張し、コックとも険悪ムードになってしまう。
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披露宴の準備に必死な花嫁も、披露宴の費用を負担する父親も、ピリピリと気が張りつめてしまうのは仕方がないこと。
でもそんな時だからこそ、相手の意見に耳をかたむけることが必要だし、それが披露宴を成功させるカギになるのかもしれない。
2人を応援することを決意!
娘に対する愛は誰にも負けない
と、ここまでお騒がせパパのイメージが強いジョージだが、父親らしい一面だってもちろんある。
2人のことを応援すると決めたジョージは、自分が経営している工場でリボンをあしらったウェディング用スニーカーを特別に作らせ、アニーにプレゼント。
ほかにも、娘の好みにあわせてカプチーノ・メーカーをセレクトしたり、気の利いたところもある。
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しかもアニーとブライアンが婚約破棄寸前の大ゲンカをした際も、頼もしい交渉役になり、最終的には、あんなに反対していたジョージが2人を結婚に導く形になった。
そんなジョージの姿を見ていると、父親の娘への愛情って最強だなとしみじみ実感させられる。
と、同時に、自分の父親に対する感謝の気持ちが自然とわきあがってくるはず。
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身近すぎるゆえの甘えから、ケアを怠りがちになってしまっている父親の存在。
普段は恥ずかし過ぎて言葉にしにくい“ありがとう”を伝えてみる。そんな格好のチャンスとして、結婚式を利用するというのもありなのでは?